TALK 世界に通用するジャパンブランド 一般社団法人首都圏産業活性化協会 小野寺賢司 × ミズキ代表取締役 水木太一

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2.シリコンバレーに見る可能性

シリコンバレーの企業視察、展示会出展を通じて

小野寺賢司
小野寺
2014年6月、TAMA協会ではシリコンバレーでの商談会を企画しました。現地の企業視察や展示会の出展などを通して日本の中小企業のシリコンバレー進出をもくろむような企画だったのですが、水木社長にも参加して頂きましたね。
水木
ちょうど、シリコンバレーの大手ITメーカーから問い合わせを受けていたところだったのでそちらの商談も進めたいと思い、参加させて頂きました。
小野寺
参加してみていかがでしたか?
水木
日本だと、何かを作ろうと思った時一つ一つ要素技術を積み重ね、コストも考えながら実用化に向けて開発を進めていくというプロセスを辿りますが、シリコンバレーでは、まず “なにをつくりたいか”があって、それを作るための前提条件や要素技術は後から探してくるという感覚です。あれには非常に驚かされました。
小野寺
そうですね、考え方が全く違いますよね。TAMA協会ではシリコンバレーには日本の中小企業が進出するチャンスがあると考えています。アジア諸国への進出についてはこれまでも積極的に支援してきたのですが、大体のケースが価格競争になってしまうんです。人件費による価格差を乗り越えられず商談を進めるのが難しい。一方シリコンバレーを見てみると、アップルやグーグルなどソフトウェア会社がハードウェアに進出しつつある。必ず試作開発があるので、そこには日本企業が参入する余地があると考えているんです。
水木
確かにアップルやグーグルのような会社はソフトで利益を得るモデルがあるので、ハードについては少々コストが高くついても、いい物をつくろうという考えが強いですね。
小野寺
品質の高さや安定性では日本企業は他国の企業に比べて一日の長があります。成熟した市場においては、日本企業の強みが発揮できることがあるのではないか、とも考えています。
水木
シリコンバレーの企業は周りが大きな企業ばかりなので、日本の町工場のイメージが想像できないようです。その分、小さな会社でも抵抗なく取引をしてくれる環境もありました。部品が必要ならフランクに当社のような会社にも取引しようと持ちかけてくる。
日本企業のように、製造機から測定器まで自社でつくってから製品をつくる、というような開発方法でなく、要素をいろいろなところから集めてくる手法なので、当社のような会社にもチャンスがあると感じました。
小野寺
そうですね、シリコンバレーの商談会で日本企業の技術や製品をプレゼンテーションした際には現地企業も興味を持ってくれて、商談に発展した会社さんも多かったですよね。当初の予想よりも反響は大きかったです。

“どこに何を売るか”自分自身が決める

水木太一
小野寺
シリコンバレー視察の際に、参加企業の間で話題になったのは、アメリカの大手ITメーカーからミズキに本発注を念頭においた試作依頼がきたことでしたね。
水木
はい。メーカー側から突然英文メールで問合せを受けて、最初は何のことかわからなかったんですが、よく見るとどうも本当に大手IT企業からの問合せのようで、それで小野寺さんに協力して頂きながら秘密保持契約を結びました。当社としても是非取引したい企業だったので、シリコンバレーでメーカーを訪問し、商談まで進めることができてよかったです。
小野寺
それにしてもよく問合せに対応しましたよね。 普通は見逃しそうな1通の問合せメールに対して、確実に対応すること自体がミズキの企業力といっていいかもしれませんね。
今回は水木社長から、海外メーカーとの契約に関するサポートということで依頼されましたが、目的がハッキリしているのでこちらとしてもサポートしやすい。
水木
我々は自社の技術がどんな分野に活用できるか、事前に検討してから小野寺さんに具体的なサポートを頂けるよう努力しています。日本の中小製造業者はものをつくってから”誰か売ってください”というようなスタンスのところも多いです。しかし、お客様を探したり、どういうところに売りたいかを考える主体は必ず企業でないとダメだと思います。
小野寺
これまで中小企業は口コミや地域のつながりなどでうまくやってきた。でも、それが今は通用しなくなってしまって、そうするとどこにどうやって売ればいいか分からない。だから、誰か売ってください、という発想になってしまう。
水木
日本の中小企業は素晴らしい技術をたくさん持っているので、その活用方法をもっと主体的に考えて展開すれば、充分チャンスはあると感じています。これは当社にとっても課題なのですが、世界の企業に自社のことをもっと知ってもらえるような努力や売る力を養うことが必要ですね。

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