TALK 世界に通用するジャパンブランド 一般社団法人首都圏産業活性化協会 小野寺賢司 × ミズキ代表取締役 水木太一

ホーム未来志向の経営者たちPAGE3 しなやかな生き方

3.しなやかな生き方

世界のニーズに応えるための企業努力

水木太一
水木
市場は刻一刻と変わっていて、今、当社をとりまく環境も大きく変化しています。これまではアジアの中ではなかなか価格競争力を保つのが難しかった。ですが近年、当社では価格でも中国や東南アジアのお客様ニーズに応えられようになってきました。
小野寺
一般論としては、中国を始めとしたアジア圏では峻烈な価格競争が起こっているといわれていますが、今、中国でも人件費があがりつつあります。アジア圏でも価格ではなく付加価値での勝負が起こり始めるかもしれないですね。
水木
弊社では技術的にはどこよりも高効率なやり方を追求しています。いいサプライヤーを探す、効率的に作れる加工機を自社で開発する、検査機も自分たちでカスタムするなど、地道な努力で製造の効率化を図っています。
小野寺
そうですね、あと製造機械のオーバーホールもしていますよね。
水木
はい。幸い弊社には優秀なエンジニアがいて、古い機械をカスタムして最新のものより高性能の機械に改修することができます。そうすると固定費も下がるし、製造効率も向上します。また、精度も上がるので不良品も減少するし、人の手を省略することもできる。単位あたりの製造コストがぐっと下がるんです。これが当社の価格競争力の秘密です。
小野寺
価格競争ということで考えると製造機械の固定費はそれほどかわらない、材料費もかわらない。価格差の大きな原因は人件費です。1個あたりの製造にかかる時間が長く人件費効率が悪いと勝負できない。ですが製造時間を短縮できるとコストも下げられて、競争力が出てくるんですよね。
水木
あと、競争という点では価格以外にも勝負できる要素が出てきています。例えば、近年メーカーが要求するスペックが上がっています。例えば、10cm上から落として問題ないという基準だった部品が1m上からコンクリートに叩き付けても問題ないという基準になった時、メーカーによっては「もういいや、やってられない」となってやめてしまうことがほとんどです。ですが、当社では新しい設備を開発、導入したりしてハードルを超えていく。そういったコミュニケーションにより顧客満足度を上げることで、ミズキにまとめて発注しようというお客様も出てきています。
小野寺
なるほど、ミズキの対応力が競争力として働いている証拠ですね。

しなやかな生き方

小野寺賢司
水木
やはり勝てるフィールドと勝ち目のないフィールドがあると思うんです。冷蔵庫や洗濯機などみんなが使うものについては、みんなが買える値段であるべきなので、部品は安くなければならない。やはりどうしても価格競争力が求められるんです。
小野寺
市場によって状況が異なるので、それぞれの市場を見極めることが必要ということですね。
水木
QCD(クオリティー、コスト、デリバリー)のバランスがとれる市場を見つけることは非常に大事です。確実に中小企業にも勝てるフィールドはあるし、そこで採算が合うような商品を提供することはできます。例えば、有名料理店が地域の生産者から直接新鮮な野菜を少量だけ仕入れるようなもので、難しい仕様のものを少量だけ入手したいようなケースでは日本の中小企業に優位性があります。
小野寺
多品種少量生産を得意とする中小企業には強みがありますね。高付加価値のものであれば価格競争に巻き込まれないですし。これから生き残っていくためには、中小企業も戦略を持たなければいけませんね。
水木
私は自分たちが勝てるようなフィールドを見極めるということを大事にしています。適正な市場を見極めて投資することで日本の中小企業はもっと発展できるはずです。勝てる見込みもないのに、大きな市場に向かって社運を賭けて望むというのではなく、自分達が勝てるフィールドに合わせて、しなやかに生きていくことが必要だと考えています。
小野寺
そうですね。また、そうした時に市場にあわせて対応できるような柔軟性も必要ですね。常に自分の立ち位置を考えながらそれに対応する。中小企業のフットワークの軽さもうまく働きはじめるかもしれないですね。

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